多言語のコンテンツエージェント:ヘブライ語・アラビア語・英語のアカウントを、翻訳ではなくローカライズで
AI エージェントで多言語の投稿を回す方法。ローカライズと翻訳の違い、右から左に書く言語の落とし穴、アカウント別キャプションまで。

多言語のコンテンツエージェントは、英語の原文を1行ずつ翻訳するのではなく、共通のブリーフをもとに、各アカウントのキャプションをそのアカウントの言語でネイティブに書くべきです。Shager では、言語グループごとに投稿を1件作り、per_channel でアカウントごとに別のキャプションを設定し、リンク、YouTube のタイトル、最初のコメントも言語ごとに用意する、ということになります。ヘブライ語やアラビア語のような右から左に書く(RTL)言語では、さらに書字方向の混在にも対処しなければなりません。RTL の文の中に入る数字、URL、ブランド名、ハッシュタグです。
多言語の運用でつまずくのは、たいていこの後半の部分です。しかも、投稿がスマホで公開されるまで、問題は目に見えません。
ローカライズと翻訳の違い
W3C の定義は正確なので役に立ちます。国際化に関する FAQ では、ローカライズを、コンテンツを特定の対象市場(ロケール)に合わせて調整することと説明し、それは文章の翻訳をはるかに超えるものだとしています。日付や数字の書式、通貨、慣習、文化まで含むのです。
SNS のコンテンツでは、この差は非常に大きくなります。翻訳されたキャプションは、英語の構成、英語のジョーク、英語の行動喚起を、別の言語に置き換えただけのものです。ローカライズされたキャプションは、その投稿が何のためにあるのかから出発し、その市場のネイティブのコピーライターが書くであろう文章を書きます。
翻訳では抜け落ちるものの具体例です。
- ヘブライ語では、読み手を性別で呼び分けます。 英語の「Book your table」には性別がありません。ヘブライ語の命令形は男性形、女性形、複数形に分かれ、ブランドはどれを使うかを意識して決めています。機械的に翻訳するエージェントは投稿ごとに適当に選んでしまい、40ページを通して見ると一貫性がなく見えます。
- アラビア語には文体の選択があります。 現代標準アラビア語と地域の方言が共存しており、どちらが正しいかはブランドとオーディエンスによります。ブリーフでどちらかを指定し、エージェントがその間を行き来しないようにすべきです。
- 日付と価格。 「11/10」が何日を指すかは国によって違います。通貨記号が数字のどちら側に付くかも違います。迷ったら日付は言葉で書きましょう。
- 祝祭日と生活のリズム。 週の働き方、祝日、静かな時期は市場ごとに異なります。大きな祝祭日の前夜のイスラエルのオーディエンスや、ラマダン中の夜のイスラム教徒が多数を占める国のオーディエンスは、ふつうの火曜日とは違う行動をとります。
エージェントへの実践的なルールはこうです。ブリーフは事実の出どころであって、文章の出どころではない。

Shager で多言語のクライアントをどう構成するか
Shager はヘブライ語を軸に、右から左のインターフェースと英語の完全なサイトを備えて作られており、各アカウントのキャプションを独立した文章として扱います。これは、多言語の仕事を組み立てるべき形にそのまま合っています。
- アカウントを言語ごとにグループ分けします。
create_groupで言語ごとに1つのグループを作ります。たとえば「Aurora HE」「Aurora AR」「Aurora EN」です。グループはクライアントのワークスペースに属します。 - 言語グループごとに投稿を1件作ります。
cta_url、youtube_title、campaignのように、投稿ごとに1回だけ設定するフィールドがあります。そのため、言語別のランディングページや YouTube のタイトルには、言語ごとに別の投稿が必要です。こうしておくと、言語ごとのレポートもすっきりします。 - 各投稿の中で、アカウントごとにキャプションを書きます。
per_channelは、channel_idごとにcaptionとfirst_commentを受け取ります。同じ言語の中でも、AI でアカウントごとにキャプションを書き分けるで紹介したように、アカウントごとに言い回しを変えましょう。
3店舗を持つクライアントのヘブライ語の投稿は、次のようになります。
{
"tool": "create_post",
"arguments": {
"workspace_id": "ws_example",
"group_ids": ["grp_aurora_he"],
"caption": "הקולקציה החדשה מגיעה לסניפים ביום חמישי.",
"cta_url": "https://aurora-example.co.il/he/new-collection",
"campaign": "new-collection-he",
"youtube_title": "הקולקציה החדשה של אורורה",
"label": "Aurora new collection HE",
"per_channel": [
{ "channel_id": "ch_fb_haifa",
"caption": "חיפה, הקולקציה החדשה כבר בדרך. ביום חמישי היא אצלנו בסניף.",
"first_comment": "לכל הפרטים ולתיאום ביקור:\nhttps://aurora-example.co.il/he/new-collection" },
{ "channel_id": "ch_fb_beersheva",
"caption": "באר שבע, ביום חמישי נפתח את הארגזים. בואו לראות ראשונים." }
]
}
}
アラビア語と英語の投稿も、それぞれのランディングページとキャンペーンで同じように作ります。Shager はアカウントごとに専用の短縮リンクと UTM タグを付け、utm_content でアカウントを識別するので、追加の手間なしに、クリックのデータはアカウント別・言語別に分かれたままになります。
エージェントには見えない、右から左の問題
言語モデルが出力するのは、論理的な順序に並んだ文字列です。スマホはそれを Unicode 双方向アルゴリズムで表示し、左から右の部分と右から左の部分がそれぞれ画面上のどこに来るかを決めます。ヘブライ語やアラビア語の文に英単語、数字、URL、句読点が入ると、書き手の意図とは違う結果になることがあります。
W3C の国際化用語集は、RTL の文字体系でも数字は左から右に表示されること、そして双方向テキストが RTL の文字体系で起きる多くの問題の原因であることを指摘しています。SNS のキャプションでよく見られる症状は次のとおりです。
- 句読点が反対側に飛ぶ。 英語のブランド名とピリオドで終わるヘブライ語の文では、ピリオドがブランド名の左側、つまり行の途中に表示されることがあります。
- 基本の書字方向がひっくり返る。 キャプションが英単語や数字で始まると、最初の強い方向性を持つ文字で方向を決めるプラットフォームでは、段落全体が左から右に並びます。古いテストに基づく W3C の SNS における双方向テキストのメモでは、Facebook がコメントでこの方式を使っていると観察されています。プラットフォームは変わるので、現行のアプリで確認してください。
- 価格や範囲の順序が入れ替わる。 ヘブライ語の文中で、数字のあいだにハイフンを挟んで「50 to 100」と書くと、読み手の想定とは逆の順序で表示されることがあります。
- 文字体系が混ざったハッシュタグ。 ラテン文字とヘブライ文字が混ざったハッシュタグは、途中で切れたり、おかしく表示されたりすることがあります。
RTL のキャプションについて、エージェントに渡すルール
ヘブライ語やアラビア語のアカウントを持つクライアントでは、次のルールを常設の指示に入れておきます。
- RTL のキャプションは、必ず RTL の文字で書かれた単語で始めます。数字、ラテン文字のブランド名、絵文字で始めてはいけません。
- RTL のキャプションを、ラテン文字の単語と句読点で終えないこと。RTL の文字で文が終わるように言い換えます。
- URL は RTL の文の途中に置かず、必ず独立した行にします。
- 範囲や価格は、数字のあいだの記号に頼らず、言葉で書くか文の構成を変えます。
- ラテン文字のブランド名を文の途中に置かざるを得ず、表示が崩れる場合は、ラテン文字の部分の後に右から左マーク(U+200F)を入れると、たいてい順序が直ります。見えない文字はあとで編集しにくくなるので、使うのは控えめに、テストしてからにしてください。
- 予約の前に、SNS ごとに1つ、スマホで表示した例をネイティブスピーカーに確認してもらいます。スクリーンショットでのレビューは、文字列のチェックでは見つからないものを捉えます。
インターフェース上でヘブライ語のキャプションを編集・承認するチームには、Shager のヘブライ語の文章アシスタントが人の側の作業を助けます。それでも、エージェントには上のルールが必要です。エージェントは、誰かが目を通す前に書くからです。

クライアントの言語での承認
別の市場のクライアントがコンテンツを承認するときは、自分の言語で見られるようにすべきです。Shager の承認リンクなら、レビュー担当者はログインせずに承認できます。エージェントは request_approval でリンクを送り、reviewer_name と、必要に応じてメールアドレスか電話番号を指定します。ヘブライ語の投稿はヘブライ語を話すマーケティングマネージャーに、アラビア語の投稿は実際にアラビア語を読める人に送りましょう。英語のレビュー担当者が1人で3言語を承認しても、実際に承認しているのはそのうち1言語だけです。承認の流れはエージェントの投稿に人の承認を入れるで説明しています。
タイムゾーンと暦
アラビア語のオーディエンスとヘブライ語のオーディエンスが別の国にいるクライアントでは、言語ごとに投稿時刻を変える必要があるかもしれません。言語ごとに別の投稿にしているので、それぞれに schedule_at を設定でき、オフセットも正しいタイムゾーンで計算できます。Shager のカレンダーにはイスラエルの祝祭日が含まれています。ほかの市場については、関係する祝祭日をクライアントのコンテキストファイルに書いておいてください。予約のルールはエージェントのための予約戦略にまとめています。
よくある質問
1つの投稿に、アカウントごとに異なる言語のキャプションを入れられますか?
はい。per_channel のキャプションはアカウントごとの自由なテキストなので、1つの投稿に複数の言語を混ぜられます。それでも、リンク、YouTube のタイトル、投稿時刻を変えるべきときは、言語ごとに分けることをおすすめします。これらのフィールドは投稿ごとに1回しか設定できないからです。
エージェントにはまず英語で原文を書かせ、そこからローカライズさせるべきですか?
ブリーフが英語の場合に限ります。もっと良いのは、クライアントが使う言語で事実と目的をまとめたブリーフを用意し、そこから言語ごとにネイティブのキャプションを書かせるやり方です。英語のキャプションを翻訳すると、英語の構成をほかのすべての言語に持ち込むことになります。
Shager は右から左のテキストを正しく扱えますか?
Shager 自体のインターフェースは右から左を前提に作られています。キャプションは、エージェントが書いたとおりに各 SNS に送られます。例外は、アカウントごとの計測用短縮リンクに置き換えられるリンクと、cta_url を設定したときの行動喚起の行です。キャプションがどう表示されるかは各 SNS のアプリが決めるので、上のルールとスマホでの簡単な確認は、引き続き欠かせません。
次の一歩
規模を広げる前に、1社のクライアントのワークスペースで言語グループを作り、各言語で投稿を1件ずつ試してみてください。エージェントをまだつないでいなければ、エージェント向けページで接続方法を説明しています。


